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子供と一緒に成長しよう! 三歳から日記が書ける子をめざして

愛のない親たちが生んだ悲劇の実話

彼の両親は彼がまだ小さい頃に離婚をしました。

彼が幼稚園の頃、新しいお母さんができました。

父親はとても厳格で、怒鳴ったり叩いたりしては

きびしく叱りつける人でした。

新しい母親は、彼を育てるのが嫌だったので

彼が何をしてもほめることなどありませんでした。


かれは幼稚園生の冬のあるとき、金魚のいる金魚鉢に

お湯を入れました。金魚は全部死にました。

「金魚さんが寒くてかわいそうだったから。」彼は言いました。

新しい母親の実家つまり新しい祖母宅でのことです。

無邪気でかわいらしいエピソード・・・を装った

彼の祖母や母親へのアピールでした。


彼がいくつになっても父親はきびしく

母親は彼を認めないままでした。

いつしか彼はまわりから「大ぼらふき」と言われるように

なりました。

いつも自分のことを誇大に自慢をするのです。

あまりに本当のように語るので、みんな信じてすごいね~!とほめます。

しかし、後でそれがうそだとばれる・・・。

彼のほら吹きは彼が社会人になってもなおりませんでした。


彼のすべてを父親が決めました。進学の際の学校選びも。

ちゃんと親の言うことを聞いていればいいんだ、と。

彼は自分はこうしたい、などと父親に言うことなどできませんでした。


就職も父が喜びそうな、「すごい」ところにしました。

その中でも出世コースにのるため、上に取り入ったり必死に

がんばりました。

彼の所属する派閥は抗争に負け、出世街道からは

大きく外れてしまいました。


彼は結婚すると、奥さんに暴力をふるいました。

子供にも暴力を振るいました。

彼の息子が3歳くらいの頃、息子の何かに突然怒り出した彼は

息子のおなかを蹴り上げました。

息子がしばらくうずくまってしまうほどに強く。

このとき以来、彼の息子は父親を恐れ

いつも顔色を伺ってはおどおどとしていたそうです。


彼の息子は彼の選んだ学校へ行っていました。

小学校から大学まで行かれるエスカレーターのところです。

息子は大学で留年をつづけついに、親父が決めた学校に

これ以上いても意味がない、と退学をしました。

この退学を機に、彼は息子に勘当を言い渡しました。

同じ家の中にいてもお互い顔を合わさず一切口もきかない

生活が何年も続きました。

彼の息子はまわりにうそをつきました。

まわりにすごいね~と言って貰えるうそ。

家にある車の名前や、きょうだいの職業など

つまらないことでもうそをつきました。

彼の息子は大学を辞めた後、フリーターのような生活をしながら

いろんな仕事をします。

しかし、どれもうまく続きません。

飲食店でのバイトのときには、店のお金をくすねるなども

するようになってしまいました。

家から遠く離れたところに住み込みで働きに行き

そこで多くの仲間ができました。

やっと彼の息子は自分の居場所を見つけ、活き活きと

働くことができるようになりました。

そんな楽しい職場での生活の中、仲間との飲酒の後。

酔っ払った彼の息子は、頭を打つ大怪我をし

数日の昏睡の後、亡くなりました。

まだ20代後半でした。

やっとイタリアへ修行に行きたいなど、人生に夢を持ちはじめた

ところでした。

息子と何年も口をきかぬまま、うちとけぬままに

彼の息子はこの世を去っていってしまいました。


息子の死に直面しても、彼の家族は彼が悲しんでいるように

思えないと言いました。

彼の娘(亡くなった息子の妹)も、お父さんのことが

まったくわからないと言っていました。

彼の娘は彼が家でキレると大変だからいつも家族は

腫れ物に触るようだったと言いました。

着火マンなの?の質問に

「着火マンはかちっとボタンを押されるのがわかるけれど

お父さんは突然暴発するから、着火マンの方がまだまし」

と言いました。

定年後に天下りのように行った再就職先で

名ばかりの取締役をしている現在の彼。

仕事でも一旗あげることもできず、家族からは疎まれ

息子に先立たれた彼。

彼の人生は幸せなのでしょうか。

彼は本当の人間愛をまだ知らない。

親からも、誰からも心から愛されることがなく

誰のことも心から愛することをしたことがない。

周りにいくらたくさん人がいても、彼は常に孤独の中で

生きています。


彼は悲しいのを我慢しているのでも、外へ出さないのでもない。

小さな頃から自分の感情を押さえ込んで生きてきたから

悲しいと言う感情が退化してしまった。

喜ぶ感情もなくなってしまった。

悲しいと言う感情がない、心から喜ぶことがない

大人になってしまった。


彼は小さなときから、そして大人になってからも。

周りの誰にも、彼の妻にすらも

生みの母親について語りませんでした。

一度だけ妻に、母親に捨てられた、自分を捨てた母を恨んでいると

言ったことがあるそうです。




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